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スカウトは人間を見る [常時の静事(考える話)]

夏の甲子園でのこと。
ある高校に卓越した野球センスと
技術を持った内野手がいた。

「彼のプレイは間違いなくプロ級。
ウチのファームならすぐにレギュラーです。
社会人野球のベテラン選手が高校生になりすまして、
甲子園に出ているようなものですよ。
とにかく、高校生離れしている」

スカウトの賛辞が続いた。

「ただ……」

そう言うと、一転、スカウトの表情が曇った。

「彼、凡打で走らないでしょ。
一生懸命練習して、それで培(つちか)った
スイングで打った打球って、たとえ凡打であっても
かわいいものなんです。
自然と全力疾走しているものなんです。
それが結果にしか興味を持たない。
野球をゲームとしか考えていないのかなぁ。
野球が大好きな選手なら、もっと打球に
執着心っていうのか、
『ヒットにしたい!』っていう気持ちが
あるものなんです。
だから、私は彼を推薦しません」

そう言って、あっさり切り捨てた。

野球がうまいのは当たり前。
その中で台頭していけるのは、
野球に対して狂気というほどのこだわりを
持っている者だけ。
そうした現実を、選手として何年も体感してきた
そのスカウトにとっては、
当然のことだったのかもしれない。

かつて、自分が注目した選手の”素の姿”を見たくて、
グラウンドの隣にある病院の屋上にあがり、
選手の姿を追いかけたスカウトがいた。
スカウトたちが練習や試合に何度も足を運ぶのは、
その選手のプレイを見るだけではない。
野球を通して見えてくる
” 人間 ” の部分を見極めるためである。



http://imademasita.blog.so-net.ne.jp/2014-09-27


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